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2007.08/27(Mon)

守り手 4話 


【More・・・】


「……くん…………ーのくん」

 誰かが僕を呼んでいる。それが誰かなんて考えるまでもなく僕はゆっくりと目を開けた。

「もう、こんな所で寝てたら風邪引くよ。ねぇユーノくん!」
「……うん、ごめん。今……起きるから……うん」

 だんだんとはっきり聞こえてくるなのはの声に僕は二つ返事で起き上がる。
 まだ体の方は寝ぼけているみたいでどうにもはっきりとした感覚が掴めない。空の色が茜色だから今は夕暮れだということがぼんやりと分かるだけだ。

「どうしたの? いつもは家にいるのにこんなところで」
「ちょっとね、気分転換」
「そうなんだ。そうだよね、わたしの部屋にいるばかりじゃ窮屈だもんね」

 夕日に照らされる彼女の笑み。茜色に包まれたなのはの顔はなんだかいつもより大人びて見えた。
 ――綺麗。心からそう思い見とれていた。

「そういえば今日の魔法の練習どうするの? もうこんな時間だけど」
「えっ? あっ!」

 なのはの言葉に意識が戻される。そういえば朝になのはに約束していたんだった。

「どうしたの?」
「あ、いや……それなんだけど、今日はお休みでいいかな? たまには休んで魔力を回復させないと体にも悪いから……」

 しどろもどろで僕は適当な言い訳を並べた。休息は必要だけど毎日魔法の練習をしているわけでもないし、それになのはの魔力量ならあのくらいの練習じゃ何も影響はないと思うんだけど……。

「そうだね。確かにたまにはお休みしないと体に悪いもんね」

 そしてなのはは素直に僕の言葉を受け入れてくれた。
 うう……そんなにあっさりと納得してもらえるなんて。ごめん、なのは。

「じゃあ帰ろうユーノくん。もう日も暮れちゃうよ」
「そうだね……帰ろうか」

 他愛ないやり取りをして僕たちは帰路についた。
 何気なく見た水平線には太陽がいよいよ沈もうとしている所だ。空はもう茜色から藍色へと移り変わろうとして夜が間もないことを教えてくれる。

「あっ、見てユーノくん!」

 不意になのはが甲高い声を上げた。
 空の一転を指差して目を輝かして、何かと思ってその方向を見れば、

「一番星か」
「うん!」
 
 二色が混ざり合う境界に輝く淡い光。なのはの世界でもそれを一番星と呼ぶことを知ったのはつい最近のこと。魔法の練習が長引いて今日みたいな夕焼け空になった時だった。
 二つの世界を結ぶもの。もしかしたらこの世界とミッドチルダは同じ世界なのではないかと錯覚さえ起こしてしまう。

(でも、違うんだよね)

 そう、この世界はこの世界であってミッドチルダではない。変えようがない事実が目の前に横たわっている。
 同じ世界の人間ならいつだって一緒にこの星を見上げることが出来るのに違う世界の僕には絶対にそれが許されない。僕が見ることが出来るのは同じ名前の違う星だけだ。

 もしも僕がいなくなったらなのははどんな顔をするのだろうか。悲しむだろうか、泣くのだろうか、それとも……。
 いつしかあの時と同じことを考えて僕はまた一番星を見上げた。
 ちらほらと空には他の星達が顔を出し大分賑やかになっている。それでも一番星はそれらに負けない光で自分の存在を誇示していた。
 一番なのは最初に空に顔を出すだけでなくその輝きも一番なのだとそんなことを思った。

(あの星みたいに僕も……なのはの一番になりたい)

 密かな決意、叶わぬ願い。
 胸に秘めて僕はなのはと一緒に電灯の灯った道を歩いていく。

 こんなことばかり考えていたせいでとても大切なことを忘れたまま。
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