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2007.08/20(Mon)

守り手 2話 


【More・・・】


 ひんやりとした風が全身を撫でていく。
 頭の上には鳥達が――なのはの世界でカモメ、と言う名前らしい――特徴的な鳴声をあげながら飛んでいく。
 最初はなんだか変な臭いに思えたこの香りも今は逆に心地よい。

 海鳴臨海公園――ある時はジュエルシードを巡り眼前の海で激戦を繰り広げたり、また出会いや別れが会ったり、なにかと僕たちと関わりがある場所だ。

「海なんてミッドチルダじゃほとんど見なかったな」

 遺跡発掘という仕事の都合上、どうしても僕たちが行くところは人々の間で秘境と呼ばれる場所が殆んどだ。それが密林だったり荒野だったり、はたまた山の中、大地の下と普通の行く人が行かない場所が僕にとって普通の場所だった。

 今はそんな陰気くさいイメージとは正反対の風景が僕の前に広がっていた。
 見渡す限り真っ青で遥か向こうの水平線には太陽に届かんばかりに入道雲が立ち上がっている。揺らめき続ける水面は反射する陽光で真っ白に輝き眩さに僕は目を細めた。 
 この生活が今の僕にとっての普通になっているけどミッドチルダに戻る時には僕はまた普通ではない普通に身を置くことになるんだろう。
 きっとこの風景も帰ったら早々見ることは出来ない貴重なものになっていくはずだ。今の内に目に焼き付けて十分に堪能しておきたいな。

「それに……」

 ふっ、と脳裏に浮かで消える笑顔。

 ――なのは。

 当然、来るべき日が来たら彼女とも別れなければならない。
 なんだか胸が痛い。去来するこれに名前があるならそれは切ないの他にない。
 これの生まれる原因がなんなのかは僕は知っている。自分の気持ちに嘘をつくことだとわかっている。

「でも、ダメなんだ……それだけは言えない」

 僕はこの世界の住人ではないし、あまつさえ本来ならもうここにいてはならない存在。
 そもそもこの世界は魔法なんて概念すらない僕らが触れる権利の無い世界だ。そんな次元の人間と干渉しあうことで何かの事件が起きて、それで関わった人達が傷ついたりしたらそれこそ取り返しのつかないことになる。

 だからいちゃいけない。次元が安定したら僕はすぐにでも帰らなければならない。

「――いい加減治まれよ」

 考えれば考えるほど胸は昂り僕を締め付ける。
 いつからだろうか……なのはのことを考えるとこうなってしまうようになったのは。

「そんなの決まってるよな……」

 きっかけは本当に些細で他愛ないこと。
 一緒にジュエルシードを回収していくうちに僕はなのはに惹かれていったんだと思う。

 僕の声を聞いて、助けてくれた。言うなれば命の恩人でもある。
 一人でジュエルシードの回収をしようとする僕を叱って、そして手伝ってくれた。
 何もかもが初めてな魔法の世界でなのははいつも一生懸命になって困難に立ち向かっていった。戸惑うことばかりなのに自分のことよりも僕や町のことばかり気にかけていて。
 
 いつだって僕は一番側でなのはを見つめてきた。
 彼女のことをどんどん知って僕のなのはを見る視線が友達や仲間とは違う別のものへと移り変わっていくのはある意味しょうがないことなのかもしれない。
 
 優しくて、強くて、可愛くて、それでいて責任感が強くて無理をしてしまう。
 大胆なことをしてみたり、危なっかしいことしてみたり、自分なんかよりみんなのことばかり考えて、いつだって放っておけなくて。
 
 そんな彼女に抱く想い。

 ――恋心。

「……なのは」

 支えてあげたいとか守ってあげたいとかそんな想い。何より彼女を独り占めにして一緒にいたいという想い。
 なんでこうなってしまったのか。軽率、というべきなのかそんな自分が不甲斐ない。

「ああ、もう」

 半ば八つ当たりで僕は封時結界を展開した。周囲を魔力で満ちた空間へ移送させ時間の流れを幾分かずらす。

 ほんと自分でもいろいろわかってる上でこんな馬鹿げた事をしているのが信じられない。
 有事でもないのに魔法を使用するなんて――しかも魔法の無い世界で――お咎めだけはすまないだろうけど今だけは目を瞑っていて欲しい。
 これが僕の日課の始まりの合図なんだから。
 
 僅か十分の時間。その中で僕はありったけの結界、拘束魔法の修練をする。
 この姿をそれなりに維持できるようになった僕は、この負荷のかかった状態で魔法を使うことによって自分の魔力を始めとする能力を伸ばそうと目標を立てた。

「仮想対象展開! ランダム行動に固定! 拘束、全方位展開!!」

 別になのはに匹敵するような魔導師になろうとは思っていない。なのはの才能はミッドチルダでも早々現れない希少な存在だ。正直、そんなものに追いつけるほど僕は自分の実力がないことぐらい分かっているつもりだ。
 この体に魔力負荷をかけることだって大げさなものではない。形は違えど魔法修練の中でも基本的な部類に入る。なのはだってやってることだ。

 だから自分の得意な魔法、結界魔導師としての力を徹底的に高める。そうすればもしこの先何か起こってもなのはのことを十二分にサポートできるはずだから。

 なのはの驚く顔が見たい、なのはの喜ぶ顔が見たい、なんて結局はなのはにいい格好を見せたい、それだけなんだけど。
 結局そんなことがもし起こったとしても僕がなのはと一緒に力を合わせることなんてあるのかさえ分からないのに。

 ほんと僕はなにやってるんだろう……。
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