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2007.08/19(Sun)

Private aid 第1話 


【More・・・】



 ――どうしてこんなことになったんだ!?


 事の顛末を考えることを拒否させる逞しい右ストレートを頬に貰いながらクロノ・ハラオウンは自分の不運を呪っていた。
 実に鈍足な時間の中で拳が頬にめり込んでいく感触を味わいながら、クロノはただただこの一発で制裁が終わって欲しいものだと儚い希望を抱いていた。
 残念ながら現実はあまりに非情でありクロノはこの後もしこたま制裁を受ける羽目になるのだが――。


 そもそもこんなことになったのは十分前に遡る。


「悪いんだけどエイミィ起こして来てくれないかしら」

 そんなもの通信で起こすなりすればいいと思うが、他でもない艦長兼母親の頼みなら仕方ない。
 取り分け今日は仕事もなく午後にフェイトとの模擬訓練があるだけだ。そういうわけでクロノは特に気にすることなくエイミィの部屋へ赴いていた。
 オペレーターだというのに定時に勤務場所についていないなんて甚だ呆れる事実である。ここ最近の多忙で疲労が溜まっていた等、理由があれば目をつぶることも出来るのだが。

「エイミィ起きてるのか? 寝ているならさっさと起きろ」

 通信パネル越しにぶっきらぼうにクロノは告げた。
 殊更、このアースラは任務時以外の時間は規律に関してかなり寛容な所がある。
 多少の遅刻――せいぜい五分くらい――は許されるし、なにか御めでたい事があればその日の内にパーティをする等等。
 これも全ては艦長であるリンディ・ハラオウンの人格がなせる技なのだろう。あまり組織の頭が羽目を外し過ぎるのもどうかとは思っているのだが。抗議をしてもすぐに丸め込まれるので仕方ないということで納得している。
 
 だが――……。

「エイミィ? いい加減にしろ、流石に許せる範囲を超えてるぞ」

 さしものクロノも堪忍袋の緒が切れかけていた。
 曲がりなりにもエイミィはこの艦のオペレーターである。オペレーターは常に艦内や職員の状態の把握など重要な仕事を受け持つ。そもそも遅れること自体が許されない。
 今仕事をしてる連中との引継ぎも考えればもう十分は早く来ないと勤まらない。確かにエイミィの情報処理能力は素晴らしく常人の数倍引継ぎから状況の把握まで行ってしまうのだが、それとこれは別の話だ。

「ったく、しょうがないな。入るぞ」

 待機状態であるS2Uをロックキーであるカードリーダーに通す。カードの形を取っている待機状態でもS2Uは執務官権限としてこの艦の全室に入ることのできるマスターキーが組み込まれている。
 これを使って人の部屋へ勝手に入るのは気分的にいいものではないのだがこの際しょうがない。それに相手は長い付き合いであるエイミィだ。何があっても彼女からの抗議もあまりないだろう。
 どうせフェイトから借りたDVDでも見て夜更かししたのだろうから。

「まったく、いつだって君は――」
「へっ?」

 で、クロノの口は目の前の光景に強制的に停止させられるわけだった。

「く、クロノ君? えっ、あっ?」

 なんて言おうとしていたのだろうか。
 思い出すことを許さぬほどに衝撃的過ぎる彼女の姿。いやこの場合は醜態である。
 スカートに足を通そうとしていたのか上げていた片足立ちの彼女。腰に引っかかっているのは淡いブルーの下着。スカートのおかげで両手は塞がり、隠す手段のない胸元にはそれなりに膨らんだ胸を支える世間一般でブラジャーと呼称される女性のみに着用を許される下着。
 きょとんとしている表情は問題はない。むしろそこから、首から下の扇情的な光景はどうにかならないのだろうか。

「あっ……そのエイミィ、起きているなら返事を――」

 などと宣うも時既に遅し。

「い、いやーーーーーっ!!」

 刹那彼女の姿がぶれた。目に映るものは部屋の中を舞う紺色のスカート。
 気がつけば目の前にエイミィ。羞恥に染まる真っ赤な顔がクロノの視界いっぱいに映し出される。

「クロノくんの!」

 腹部に衝撃。何か鋭いものがめり込んでいる。どうやらそれは膝であり、さらに引き締まった太ももと下着が網膜いっぱいに映し出される。
 これでも執務官を勤めるほどの魔導士だというのになぜ見切れなかったのか。そもそもなんでこんな重い一撃を女性の、しかもオペレーターであるエイミィが持っているのか。

「エッチ! スケベ! ド変態!!」
「おぶぅ!! あふぅ!! ふぐぅお!?」

 むしろ冷静に考えていたせいで顔に迫る脅威に気づけなかった自分が恨めしい。

「女の子の部屋に勝手に入るな!!」

 リズムよく左ジャブから右ストレート。格闘センスは一流だ。
 どう見てもプロです。本当にごちそ――いやありがとうございました。
 天へと舞い上がるクロノは最後の最後で走馬灯のようにいろんなことを思い返していた。
 エイミィの部屋の通信設備が内、外含めて昨日から故障していたこと。護身術として彼女がミッド式魔法格闘術を習得していたこと。免許皆伝の実力者であること。

 そして今目の前で勇ましく戦う下着姿のエイミィなどなど。

「乙女の部屋にはノックしろーーーーーっ!!」

 最後の不埒はお許しください。
 部屋から叩き出され向かいの壁に激突。背中が壁に寄りかかる暇も無くエイミィ懇親の回し蹴りが脳天へと叩き込まれた。
 クロノの体は質量を感じさせない勢いで長い廊下を一直線に見事に吹っ飛んでいく。そうして突き当たりの壁に派手に衝突しようやく彼は開放を許された。
 
 その日、クロノ・ハラオウンは午後の訓練を休んだの言うまでもない。
 ちなみにその理由は首の鞭打ちではなく、デバイスの調子が悪いという非常に子供じみたものであった。

 時空管理局八番艦アースラの朝は騒がしい。
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