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2007.07/13(Fri)

魔法少女リリカルなのはSTEP 第八話 Cpart 


【More・・・】


 真っ青な大空を、とても大きな影が嵐のように横切った。
 
 一瞬訪れる闇。
 瞬き一つの時間の中、わたしの行動はそれよりも速い。 

「ディバインシューター・テンペスト!」

 生み出される十の星の光。
 まだまだ完全に制御は出来ないけど、でも相手の動きを崩すくらいなら十分できる。

「いくよ、レイジングハート!」
『All right』

 狙いはただ一つ。
 太陽が顔を出し、眩しさに目を細める。
 目詰めたその遥か先、風を切り裂く黒い翼。
 元の姿は多分カラスのはずだけど、ここまで大きくゴテゴテついていると怪獣にしか見えない。

「シューーート!!」

 掛け声と共にスタートを切る。五つは前に、残りは二手に分けて回り込ませるように。
 複雑な制御。それはわたしにとって大きな隙になる。
 降り注ぐ光を相手は体の大きさには不釣合いなくらいのスピードで次々に避けていく。

『Master,right shooter control is rate』

 レイジングハートの声に、慌てて止まりかけていたシューターを加速させる。
 やっぱり難しい。これじゃまだまだだよ。

「でも――!」

 残りはまだ大丈夫! 上下左右にもう包囲はできてるんだから!

「いっけーー!」

 飛び交う光の嵐は絶対に当たる。これだけの数をかわせるなんてできっこない。
 それでも――

「っ! そんなっ!?」

 鳥が天高く進路を曲げた。僅かにあいた空間は本当ならさっきの二つが埋めるところ。
 こっちもすぐに全部を追わせる。でも相手が速い――速すぎる!
 太陽を背に大きく宙返り、いきなり急降下。すれ違いざま、シューターのいくつかが翼の一撃に砕け散った。
 とてもじゃないけどそこまでの速さは反則だ。
 お返しとばかりに大口を開けてわたしに突っ込んでくる黒。
 無理が祟ってしまった。シューターを戻しても間に合わない。フラッシュムーブだってこの大きさじゃ避けきれない。
 
 このままじゃ――!

「やられないよ!!」
『Remote flier』

 耳に飛び込む甲高い声。
 軽くなる体はわたしを支えてくれるあの子の魔法のおかげ。

『Flash move』

 発動される緊急回避魔法。
 ぶれる景色に体を押す風。目で追いきれない速度の中で翼はわたしを捕えられずただ空を切った。
 いつもの倍以上の距離を、いつも以上の速さで移動。わたしだけじゃ絶対にできない、あの子がいてくれたからできる魔法。

 背中から生えている空色の翼。
 鳥のような柔らかな翼じゃなくて、戦闘機みたいな鋭く尖った翼の主。

「ありがとう、すずかちゃん!」

 振り向いた先にいる魔法使いにわたしは大きく声で応えた。

「うん!」

 笑顔で頷いてくれたのはわたしの大切な友達だ。
 ちょっと無理しても、フォローしてくれる。背中を守ってくれる人がいるからわたしは十分に戦える。

「レイジングハート! このままいくよ!」
『All right』
「残弾五つ! これで!!」

 一転、上昇してくる黒鳥に向けて残った全部を突撃!
 それでも相手は身を捩って綺麗に全部かわして見せる。ほんとに反則。

「だったら――」

 構えて、狙い定めて、

「ディバイーーンバスターーーッ!」

 ドンッ! と発射するはわたしの次に得意な主砲。
 真っ直ぐに、風の中を鳥目掛けて突き進む。でも相手にとってこれほど避けやすいものは無いはずだ。
 案の定、横へ飛んであっさりかわされてしまった。

「でもね!」

 わたしの「だったら」は、

『Counter presser』

 ――それじゃない!!

「隙ありっ! でくの坊!!」

 ディバインバスターが地面にぶつかる音と、鳥が炎に包まれたのは完全に同時!
 最初の爆発音が轟いた後も、二発、三発と全部で五発の爆音が鳥の姿を煙の中へ押し込んだ。

「なのはばっかに気を取られてた罰よ!!」
「アリサちゃん!」
「あんまりバラバラに飛ばさないでよね。弾き返すこっちは苦労するんだから」

 憎まれ口でも満面の笑み。
 わたしも親指を立てて笑って見せた。
 ディバインバスターを撃つと同時に制御を解いたシューターは普通なら明後日の方向に飛んでいくだけだけど。
 今は違う。それを弾き返して攻撃に使って、援護してくれる子がいることをわたしは知っている。

「続けて行くわよ!」
『Please don't hit mate earnestly』(頼むから誤爆はよしてくれよ)
「しないわよ!!」

 少し拗ねながら、突き出した左腕に茜色。炎みたいに揺らめくそれを右腕の杖で、

「スプラッシュ! バーストッ!!」

 物凄い勢いで振りぬき発射!

 ぐいんと、大きく曲がりながら目指すは煙の向こうの鳥。

「なのは! すずか! ちゃんと防ぎなさいよ!」

 もしかしてまたあれをする気なの!?
 慌ててわたしも、後ろを飛んでいたすずかちゃんもプロテクション!

「吹っ飛べ!!」
『Slug shower』

 アリサちゃんが飛んでいく弾丸目掛け腕を突き出す。そうして拳を思いっきり握れば弾丸は大きな音を残して爆発する。
 生まれたのは物凄い数の光の雨。
 ちょうど煙の中から飛び出した鳥はきっとすごく驚いている。
 だってあんなに隙間無く敷き詰められれば絶対に避けられないんだから!

「うっひゃ!」

 炸裂する魔法の威力は大したこと無いかもしれない。
 だけど塵も積もれば山になるって諺があるように、体全体にあれだけ魔法を浴びれば平気なわけが無い。

 大雨が屋根を叩くように、プロテクションを騒がすとばっちりさえなければもっといいんだけどね……。

「もーう! もう少し手加減してよアリサちゃん!!」
「ちゃんと防げたんだから万事良しよ! それよりもなのは!!」
「うん! 準備はいいよね、すずかちゃん!」
「もちろん!」
 
 起動させるはドライブモード――。

『Sialing mode』
『Grand position』
『Saver style』

 高まる魔力、漲る力――。

『Stand by』

 心に描く、魔法の呪文――!!

「リリカルマジカル!!」
「Higher! Faster! Stronger!!」 
「風よ運べ! 想いと願い!!」

 一つになる光――。

 重なる声と心――!!

「ジュエルシード! 封っ印!!」

 満ち溢れるは……星の輝き――!!

* * *

(それにしてもよ……)

 黒板に次々並ぶ文字をノートに書き写しながらアタシはなのはとすずかに話しかける。
 と言っても、声に出すわけでなくアタシたち魔法使いの特権とも言うべき会話方法。

(どうしたのアリサちゃん?)
(今授業中だよ)

 この念話というテレパシーみたいな魔法は携帯の意味がなくなるくらいに手軽で、実に便利。

(ほんとに協力しなかったのか馬鹿に思えるくらいの手ごたえだったじゃない、さっきの)

 さっきの戦いを思い返しながら、アタシは改めて力を合わせるということの大事さを感じてるわけで。

(でも強かったよ。わたしの射撃みんな避けられたし)
(そうだよアリサちゃん。私の捕獲魔法も全然役に立たなかったんだよ)

 なのはの言い分に同調するすずか。
 うん、最もだと思う。別にアタシが言いたいのは敵のどうこうじゃなくて。

(それでも勝てたのよ。それってすっごいことだと思わない?)

 多分、誰か一人だけだったら本当に手も足も出なくやられていた敵。
 圧倒的不利な状況を覆すことができたこと。
 
 その原動力となったのは他でもない、

(チームワークがあればアタシたちに不可能はない!)

 三人で力合わせてぶつかればどんなことだって乗り越えられる。
 アタシにとって今日の戦いほどこのことを強く思ったことはない。

(そ、そうかな?)
(当たり前でしょうが。それともなのはは不可能があるとでも思ってるの?)
(今のところはないんだけど……)
(流石に無敵ってのは言い過ぎな気が……)

 二人とも慎重派なのか返事に詰まっていたりする。
 ああもう、ノリが悪いわね……。

(つまりアタシたちはこれからもチームとしてやっていくわけ)
(うん、そう決めたしね)
(そういうわけで! チームとしてやっていくにあたっていくつか足りないものがあるわけよ)
(足りないもの?)

 そう、古今東西古来からこういうチームに絶対に必要で、なくっちゃいけない誓約。
 魔法少女隊を結成してからというもの、アタシたちにはそれが完璧に欠けている。
 絶妙なコンビネーションを出来るまで成長してるんだから、肝心のしまりがないままじゃどうにもこうにも物足りない。

(いい二人とも? こういう同じ志を持つもの同士が協力し合う上で大切なものって何だと思う?)
(いきなり言われても……)
(ええっと……)

 口ごもるなんて……。そんなに思いつかないわけ?
 ここは即答でしょ、即答!

(喧嘩しないで仲良くする……?)
(強力なバックアップ……?)
(No!)

 確かにそれも歩けど点数としては三十点ってところ。

 何より大事なのは――! 

(チームの名前と決め台詞!!)
 
 ……。

 …………。

 ………………。

(……ふぇ?)

 気の抜けた返事が返ってきた。

 というか、何今の沈黙は。

 気になってなのはとすずかの方をちらっと見るとなんだか物凄く呆れられているような、ぽかーんとした顔になっている。
 重要なことだと思っていたらしょうもないことで呆気に取られてます。
 そう顔が訴えているような……。

(二人ともわかってるの!? アタシたちはいわゆる戦隊! 魔法少女レンジャーなのよ!)
(魔法少女……)
(レンジャー……)

 なんだか思いっきり引かれているんですけど……。

(だって名前なら海鳴魔法少女隊って)
(仮称よ!)
(決め台詞って誰に)
(備えあれば憂いなし!というかヒーローの宿命!)
(わたしは別にそんなことしなくても)
(モチベーションがぐんと上がるわ! やる気イコール魔法のパワー!)

 この町を守るんだからそれぐらいのスケールがなきゃ絶対駄目!

(遊びじゃないんだからこそ、こゆこと決めてもっと団結しなきゃ駄目だと思う)
(う~ん……そう言われればそうだよね)
(この事件が終わるまで私たちが頑張らなきゃいけないんだよね)

 きっと言葉で話していたなら二人は頷いているんだと思う。
 そんなニュアンスな答えに、アタシも改めて自分の言葉に頷いて。

(そういうわけでいい案ない?)
(えっ、アリサちゃんが考えてるんじゃないの?)
(こういうことはみんなで決めるのが得策でしょ)

 実際、なのはの言う通りだったら発表してる。
 どうにもアタシ一人だけではピッタリな名前も台詞も浮かばないわけで……。
 言いだしっぺのくせして恥ずかしいったらありゃしない。

(そ、そういうわけでランチタイムに決めるんだからね!)

 ちょうど良く予鈴が鳴った。
 先生に礼をして昼休みが始まる。

「さぁ、ぼやぼやしてる暇はないわよ! 二人とも!」

 カバンからお弁当箱を取り出して席を立つ。
 そのままズカズカ教室から足早に出てってアタシは一路屋上に向けて走り出した。
 後ろから聞こえる二人の声。きっと慌てているに違いない。

「でも 今更止まれないでしょ?」

 真っ赤な顔を笑われたくないから。
 そしたら情けないでしょ?
 一応、これだけは決めてるんだから。威厳だけは守らないとね。

「アタシはみんなの」
 
 ――リーダーになってやるんだから。

* * *

 お弁当を食べながらこんなに頭を動かすなんて滅多にしない。
 と言うよりも多分今日が始めて。

「思いつかないわね……」
「うん……なんかピッタリの名前ってないよね」

 眉間にしわを寄せるアリサちゃんに苦笑いのなのはちゃん。
 
 私も私で……、

「やっぱり海鳴魔法少女隊がいいんじゃないかな?」

 一番最初の名前を候補にしていて。

「それにしたって……ねぇ。なにかストレートすぎて」
「カッコいい名前って思いつかないよね」
「可愛い名前でもイメージには合わない気がするし」

 ちょっとの間、空を見上げて、

「はぁ……」

 三人一緒にため息。

 大人が見たら何真剣に考えてるんだと呆れられるんだろうな。やっぱり私たちは子供だなぁとしみじみ思ってしまったり。
 でもこういうことに拘ってしまうのは止められなくて。

 楽しくて……嬉しい。

「じゃあわたしたち三人だから海鳴三銃士――」
「フェイトが入ったらどうするのよ」
「えと……それじゃあ聖祥小魔法少女クラブ……」
「メンバー三人じゃ同好会止まりよ!」
「ふぇぇ! そんなぁ!」

 二人とも……まず突っ込む場所が違うと思うんだけど。
 人数もそうだけど顧問の先生はどうするんだろう?

「頭に地名つければいいってもんじゃないのよ」
「でもわたしたちの町なんだし」
「安直過ぎるのは問題なのよ。少しは凝りなさい」

 そう、多少は捻らないと盛り上がらない。
 私たち魔導師に合って、だけどSF的な雰囲気を組み合わせた感じの名前が一番。

「マジックストライカーなんてどうかな? アリサちゃん」
「……候補に挙がるわね」

 腕組みしながら何度か頷いて、アリサちゃんに受けが良かったみたい。
 なのはちゃんはというと悔しそうに卵焼きにかぶりついている。

「でも何か足りないのよね……なんかしっくり来ないのよ」

 グッ! てこない。
 そう言いたげにご飯を一口食べる。

「じゃあリリカルマジカル魔法隊とか!!」
「なのは……」
「なに?」
「ごめんね、ダサい」

 容赦ないな……アリサちゃん。

「ひ、酷いよ! わたし一生懸命に考えてるんだから!」
「あんたそれ自分の呪文でしょ! おまけに長い!」
「じゃ、じゃあアリサちゃんは考えてるんでしょ?」
「ま、まぁ……ね」

 突然、上ずった声でアリサちゃんが胸を張る。

「聞きなさい、アタシの考えた名前は」
「名前は?」
「なまえ……は」 

 人差し指を立てたままアリサちゃんは固まっていく。

 …………。

「なま……えは……」

 今度は搾り出すような途切れ途切れの声。
 アリサちゃん……考えてないなら素直に言おうよ。

「ええと……ねぇ」
「もちろんあるんだよね? わたしのよりもずっとかっこよくて立派なの!」
「あ、当たり前でしょう」
「じゃあ……」

 形勢逆転だった。
 アリサちゃんが何も考えてないと悟ったなのはちゃんの反撃は的確にアリサちゃんの痛いところをついている。
 射撃が得意ってこういう所でも役に立つんだね。

「そうよ! よく聞きなさいよ!!」

 すぅ、っと深呼吸。どうやら土壇場で決められたみたい。
 どんな名前なんだろう。
 少しの期待を胸に私はアリサちゃんの口が開くのを待った。

「リリカル・ストライカーズ! これでどう!!」

 ビシッと人差し指を突きつけて鼻高々に宣言する。
 そんなアリサちゃんの頑張りは私たちから見れば……、

「…………」
「…………」
「ふ、ふふ、あまりに格好良すぎて言葉も出ないみたいね」
「と、いうよりは」
「アリサちゃん、それってわたしとすずかちゃんのを組み合わせただけなんじゃ」

 誰がどう聞いたってそうとしか思えないよ、うん。

「力を合わせたのよ! ほら、理にかなってる! それにズ! これが肝なのよ! 複数形にしたのよ!」

 いいのかな……それで。

「確かに力を合わせてるの……かな?」
「そう……だね」

 いいんだよね……多分。

「完璧よ! Perfect!!」

 自信満々、誇らしげなアリサちゃんを横目に私はなのはちゃんと目を合わせた。
 どちらからともなく苦笑いして、すぐに満面の笑顔になって。 

「ところでアリサちゃん決め台詞は?」
 
 そういえば名前ばかりですっかり忘れていた大事なことその2。決め台詞も無きゃ締まらないよね。
 
「それはまた今度……ということで」
「今度はアリサちゃんもしっかり考えてね」
「わかってるわよなのは」
「にゃはは、じゃあこれからわたしたち――」

 なんだかんだでアリサちゃんが決めた私たちの魔導師としての名前。日常から非日常へ飛び込むための合言葉。

 私たち海鳴魔法少女隊改め――

 リリカル・ストライカーズ!

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