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2009.12/06(Sun)

魔法少女リリカルなのはSTEP 二十四話 Cpart  


【More・・・】


 ブリーフィングの空気というものは何回経験しても体が慣れてはくれない。嘱託魔導師としてこれまでいくつかの事件に関わってきても身を包む緊張感は嫌でも背筋に渇を入れてくる。
 私でこれならなのはたちはもっと緊張でガチガチなんだろうな、って思えるのは余裕が残ってるからなんだろうけどそれさえ次の瞬間には消えてしまうかも。
 こんな大きな事件を前にして平常を保っていられる人なんていない。絶対にいない。自然と動く喉は私の心の声の代弁者なわけで。

「全員集まりましたね? それではブリーフィングを始めます」

 静々と、淡々と母さんが切り出した。

(いよいよだ……いよいよなんだ)

 来たるべき時がついにやって来た。
 アースラを取り戻してから一週間が経った今日、私たちの最後の作戦が始まる。 

「ついにこの日がやって来ました。アルハザードという未曾有の危機を打倒し、ミッドチルダ、地球を救うこの日が」

 みんなの視線を一身に浴びながら母さんは熱弁する。肩書き通り以上の威厳は目に見えてもおかしくない気がするくらい他の全ての雰囲気を圧倒していた。
 
「相手は全てが未知といっていいほどの相手です。世界を相手にするということはこれまで人の歴史において前例が無いものでしょう」

 PT事件から始まったジュエルシードを巡る戦い。凛とした響きを耳で拾い集めながら、私はこれまでのことをゆっくりと振り返る。
 フェイト・テスタロッサとしてジュエルシードを集めていた何も知らなかった頃。なのはとの出会いが無ければ物語はすぐにでも終わっていたのだろう。

「この困難を目の前に私は最初無理強いをするつもりはありませんでした。ですが今は違います」

 友達になりたいんだ――私にとっての第二章の幕開け。新しい世界は私にとって夜を切り裂く戦斧のように、私の心にありったけの光を注いだんだ。

「残された道が無い以上、文字通り命を賭けていただきます。私たちが生き残る方法はそれ以外何一つ残されていないのだから!」

 それでも私の世界はまだまだ狭かった。
 アリシアとの有り得ない出会いから始まった第三章がそれを私に教えてくれた。
 なのはと再開してアリサとすずかが魔法少女になって。何度もアリシアとぶつかって、ミッドが消えて、ひょんなことから学校に通うことになって私の世界は広がることを止めてくれなかった。

「それだけのことを私たちは成し遂げるのです! その覚悟を忘れないように、今もう一度胸に刻み付けてください!」
 
 アリシアと分かり合えて、別たれた存在は再び一つになった。そしてプレシアを倒して私は昔の自分の物語に終止符を打った。テスタロッサのお話はもう思い出の本棚の中だ。

「失敗は許されません。成功以外に私たちが掴み取るものは何一つ無いのです!」

 今はフェイト・ハラオウンの物語。きっとまだまだ最初の一ページをめくっただけのプロローグ。

「だからこそこの作戦は成功します! 最初から成功が約束されているのです!」

 そんな始まってもいないようなお話を簡単に終わらせるなんて出来っこない。必ずアルハザードを止めてみんなでまた楽しい毎日を送るんだ。
 初めての夏休みだって始まったばかり。宿題だって始まった……これはすぐに終わらせよう。
 そう、終わらせるんだ。嫌なことは最初に終わらせて楽しい思いで一杯作るんだから。

「前置きが少し長すぎましたね。ではこれから具体的な作戦プランを――」

 なんだかんだで母さんの話を聞いていない私だったけど流石にここからは真面目に集中しなきゃね。
 ふと母さんと視線が合って微かに微笑んだように見えたのは気のせい? それとも最初から見透かされちゃってたな……?
 うう、反省します。

「作戦の第一段階はアルハザードへのアースラの突入。第二段階はアルハザードを起動させている中枢の探索。そして最終段階はこれを魔導師によって完全停止させることにあります」
「第一段階においてはレティ提督の艦による支援がある。僕達はそれに乗じてアルハザードに突入するだけだ」

 聞くだけなら簡単だけど色々と指摘する所は沢山あるようだ。
 私はすぐに質問をぶつける。

「あの提督、どうやってアルハザードに? レティ提督の支援ってありましたけど」 
「アルハザードは今までの分析で虚数空間そのものだってことはわかっています。けど現存する艦船では虚数空間へ直接転移する能力はないわ。入り口が無い以上、作るしかないということ」
「でも作るって……」
「空間の一転に強力な歪みを発生させればおのずと次元断層が生まれる。それをさらに歪めて次元の壁を破れば向こうはもう虚数空間よ。後はそこへアースラを飛び込ませれば目的は達成される」

 母さんの言うことを解釈するなら次元震を起こして無理矢理に虚数空間を作り出すといってるようなものだ。
 単純明快と言えばそれまでだけど、それを成功させるための力がどこにあるのだろう?

「レティ提督の艦には試験運用のために現在アルカンシェルの改良型が搭載されている。資料から改良型の性能は現行の数十倍という話だ。これを使わない手はない」
 
 すかさずクロノが付け加え疑問は容易く氷解する。それはそれで物騒な話ではないかと思うけど。

「あまりに過ぎた性能だからお蔵入りするところだったんだ。改良型も本望だろ」
「でもアルハザードへ行けたとしても航行して大丈夫なの? だって虚数空間って――」

 全ての魔法が無効化される世界のはずだ。私たちが突入した時のように形を保っているなら話は別かもしれないけどその保証は無い。
 アースラだって動力は魔法で動いている以上無事でいられるはずが無い。

「その点に関しては既に解決済みですよフェイト」
「リニス?」
「アルハザードにとって異物だから排除されるなら、最初からこちらもアルハザードの一部に変わればいい」
「そんなことできるの?」
「はい、このアースラに眠る全てのジュエルシードを使ってね!」

 なるほどそれなら――って簡単に納得できる理由じゃないって。

「そ、そんなことして大丈夫なの? 一つだけならまだしも全部使うって……」
「ジュエルシードは本質的には全て同じ単体です。これをアースラに纏わせて鎧とする。それやるしかないのですよ。これは私の提案であり明日を手に入れるための覚悟ですから」

 リニスなりの覚悟か……。それならもう私が口出しできるところじゃない。

「出し惜しみ無し……まさしく最終決戦ね。いいじゃないの? アタシたちは出番まで甘えるつもりなんだし」
「そうだよねアリサ。また私難しく考えちゃった」
「大丈夫だよフェイトちゃん。アリサちゃんの場合、ちょっと簡単に考えすぎだから」
「すずかあんたねぇ……」

 みんながそれぞれにやれることを。自分にしか出来ないことを。
 そうだ、私たちに大事なことはもっと先のこと。

「じゃあ第二段階からはどうするんですか?」
「そうね……突入後はアースラの全機能を使って中枢を探査、発見しだいアースラを向かわせ」
「私たちが封印するわけですね」
「ええ、その通りよ。ただ第二段階からは全てが未知の領域での戦いになるわ」
「覚悟なら出来てます。どんなことがあっても乗り越えてみせます。私たちはリリカル・ストライカーズだから」
「その意気よ。私たちも負けてられないわね」

 どんな困難だって私たちは止められない。みんなで繋いでいく力は何だって越えて行ける魔法の源なんだから。
 出来ないなんて思ってない。出来るって思ってもいない。
 私の、みんなの物語の結末はもうとっくに描かれているのだから。後はページをめくるだけ。

 それだけでハッピーエンドに会いに行ける。

* * *
 
「さぁ! 腕の見せ所ですかね!」

 ぐいっと袖をまくって二の腕が外気に晒される。乱れることすら珍しい法衣にとっては貴重な経験だろう。

「カーゴルームのジュエルシードは述べ三十八個……よくもまぁこんなに集まりましたね」

 フェイトたちが集めたものは当然ながらアースラの武装局員も尽力してくれたおかげだ。
 性能はピンキリではあるもののどれも内部にアルハザードの理を内包したものだ。並列に接続するなら多少の性能差はカバーできる。

「そして起点としてのあなたがいれば艦船一つを強化するなど朝飯前でしょう? よろしく頼みますよL・ジュエル」

 右手の中の種に願いを込めて再度握り締める。ひんやりした風が体を包んでいった。
 宇宙から一転地球へと舞い戻ったことには理由がある。これだけの大規模な儀式魔法を行うには出来るだけ集中できる環境が必要だからだ。
 もっとも、私の考える強化方法はジュエルシードを船体に貼り付けなければならないことが必須条件のためこうして大気のある世界が必要なのだ。

「それにしても……旅立つ前は日暮れだったのにこれはどういうことでしょう?」

 時間は当てにならない。それでも時の運行を止められた世界に時が戻っている。何があったのか私の頭でも訳がわからない。
 夕焼けに染まっていたはずの海は今は夜の闇に浸されている。見上げても月は見えない。夜が更けていくの明けていくのか、はたまたちょうど真ん中なのかそれすらわからない。

「この世界も諦めていないということでしょうか。土足で踏み入ってきた異世界に簡単にやられるわけにもいきませんものね」

 もしかしたら世界には本当に意志が宿っているのかもしれない。もしかしたらジュエルシードの影響で、なんて夢の無い答えは出さないでおくことにして。
 気持ちを切り替え準備を終えたであろう相方に声をかける。

(アルフ、そちらは終わりましたか?)
(終わったには終わったけどさ、ほんと一体何するんだい?)
(それはこれからのお楽しみです。巻き込まれると厄介ですからアルフは先に中へ入ってください)
(なんだかよくわからないけどあんまり滅茶苦茶しないでおくれよ。せっかく修理したばかりなんだからさ)

 実際これからやろうとすることの詳細を彼女が知っていた場合必死の形相で止めるかもしれない。恩人達の乗る船なのだからそう易々と失礼な真似は出来ない故に。
 
「とはいえそれぐらい準備は万全にしないといけませんからね」

 夜明けまでは数刻か数分か。この暗闇の空と眼下に広がるドス黒い海が見納めになるのだろうか。
 艦首から主翼、尾翼に至る全てにジュエルシードは満遍なく貼り付けられ淡い光を放っている。航空機なら夜空の主役を張れるほどに光を巻きちらすことだろう。
 時間を無駄に浪費するつもりは無い。さっそくではあるが私は艦体の中央に佇み深呼吸一つ。目を閉じれば既に口は詠唱を始めている。

「願いの種よ……我が記憶を此処に……銀の翼に新たなる翼を……結実せん!」

 全ては未来の記憶のままに。脳裏に浮かぶ確固たる銀翼の雄姿を強く、固く、完璧に結びつける!

「ジュエルシード全発動! 完全開放!」

 片っ端から発動していくジュエルシードからは刹那の内に臨海を越えた閃光が放たれる。蒼穹のような光は瞼を貫き目が眩むほどに桁が違っていた。

「雄雄しき翼よ! 黎明の祝福の元に生まれ変われ!!」

 それに負けずと私も精神を一転へと集中させていく。
 暴れ狂う光は徐々に集束し、そして一際光る中心からはまた別の光が液体のように周囲へと広がっていく。
 青い膜に包まれるように光に飲まれていくアースラ。船体全ては一息で光の波に飲み込まれ輪郭を残すのみとなる。

(落ち着きなさいリニス。ここからが本番ですよ!)

 暗闇の世界には既に生まれ変わったアースラの姿が残るのみ。
 雛形に合わせアースラの姿を成型していく。脳内に送り込まれていく映像は今まさにジュエルシードの力で生まれ変わる翼の姿だ。
 二つの艦首はより鋭く天を目指し伸びていく。その間から三本目の艦首が角のように真っ直ぐ悠然とそびえていく。

(次は主翼から艦尾に至る成型を!)

 船体から生え出し大気を突き破る翼は猛禽のごとく。光の中でぐにゃりと形を崩し私の希望通りの形状へ一息で変形させる。
 艦尾からは放射状にいくつものブレード状の飾り羽が生え揃っていく。空力も実用性も度外視した、はっきり言おう私の趣味だ。
 船体の組み換えはこれで終わり。後はこれを見掛け倒しのハリボテにしないように内臓機関を揃えるだけ。これがまた難しいわけだがデバイスを弄くりまわす私にすれば応用でどうとでもなる。
 足元で戯れていた振動が徐々に大きく、やがて足元を掬うような激しいものへと移り変わっていく。少し動力機関を改良したことが早速反映されたらしい。想定以上の出力向上だ。
 残りは拡張された艦内に合わせて部屋の増築などオプションを配置すれば改装は終了だ。本来ならブリッジから何から何まで一新したいものだが内部に人がいるためここいらが潮時だろう。

「アースラ――……完っ成!!」

 『ドーーン!』と効果音を鳴らしたい衝動に駆られる。フェイトが読んでいた漫画にするなら見開きのおまけつきでだ。
 巻き起こる興奮を抑えながら目を開ければ水平線を光の線が走り抜ける瞬間だった。今日を告げる輝きは船出する私たちへの粋な計らいと受け取っておこう。

「いざアルハザードへっ!!」 

 宣言高らかに振り上げた指先は遥か天空を目指す。推力は留まることを知らず雲海を豪快に突き破りながら上へ上へ昇っていく。
 どんどん急角度に真下には朝焼けに揺らめく雲海を眼に納めながら、私も振り落とされてはいかんと艦内へ転送する。

(ちょっとテンション上げすぎましたね……)

 自然とため息をつけば力が抜けていく。

「駄目ですよ! まだまだこれからなんですから!」

 頬を叩き気合を入れなおしてひとまず足は艦橋へ。ここまでアースラを改造してしまったことに関しては相当お咎め受けそうだが、これからの働きに期待という事で水に流してもらおう。

「主のわんぱくぶりに困ったものですね。私まで伝染してきたじゃないですか」

 こんなポジティヴな思考になれたのも今の生活のおかげだ。こんな賑やかで楽しい毎日を失わせるなんてトンでもない。
 
「さてさてアルハザードも驚くでしょうね。こんなものが乗り込んでくるんだから」

 ええ、本当に目に物見せてやりますよ。
 フェイトたちストライカーズもすごいですけど、
 
 私たちだって凄いんですから。

* * *

『みんな!! アルハザードに突入成功だよ!! もちろん中枢の場所もバッチリ探知したよ!!』

 歓声みたいなエイミィさんの声にわたしは緩みかけてた意識の糸を一気に手繰りよせた。
 
「やっと出番だね」

 いつまで待たされるんだろうとちょっとイライラしてたのは誰にも言えないけど本当のこと。

「ようやく暴れられるのね……この鬱憤思う存分晴らしてやるわ!」
「ここだと何が起こってるかわからないし、正直退屈だったしね」
「どっちにしろ次元空間で起こってることだから見られないと思うんだけどね」

 アリサちゃんは目をぎらつかせフェイトちゃんは声のトーンがちょっと低め。すずかちゃんも疲れ顔だ。

「この……カタパルトだっけ? 戦闘機があるわけでもないのにますます戦艦じみてるわね」
「リニスが言うには魔導師を物凄い勢いで打ち出す装置らしいよ」
「そんなことしなくても普通に飛んでいけばいいと思うんだけど。わたし間違ってる?」
「お姉ちゃんの悪知恵かと思ったけどリニスさんまで……」
「忍さんと色々魔法のことで話してることもあったから……きっとリニスも」

 天上には間接照明みたいほのかな光が奥から先まで一直線に伸びている。光源はそれだけの薄暗い通路は本来ならアースラに無かった場所だそうです。
 それをリニスさんがジュエルシードの力で劇的にリフォームしたらこうなったらしいけど……絶対考えて作って無いと思うのが本音となるわけで。

「でも今アルハザードってどうなってんだろう?」

 プレシアさんがいなくなって世界そのものが崩れていったならもう中は虚数空間だけなんじゃないだろうか。
 それとも暴走した願いがまた別の世界を作っているとするなら話も変わるのかな?

「きっと大きな魔法を使う以上デバイスみたいな場所を作らなきゃ行けないと思う。だから中枢がある場所だけは形があるのかも」
「すずかの言うとおりだと思う。ただそれがどんな形なのか検討もつかないけど」
「ということは防衛ロボットとかいるのかなぁ……」

 時の庭園の動力炉を止める時だって凄い数のロボットを相手にしたし、アリシアちゃんを助けに行った時だって反則って言いたくなるくらいのロボットと戦った。
 
(そう考えると……今度も凄いんだろうな)

 どのくらいの数かなって想像しようとする気持ちを押さえ込む。

「弱気になってどうするの! 何が出たってぶっ飛ばすだけでしょ?」
「うにゃ!?」
 
 頭にコツンと小気味よい音。遠慮なくアリサちゃんがチョップした。

「わかってるよアリサちゃん。だってリリカル・ストライカーズが負けるわけないでしょ」
「オフコース!」
「何より今の私たちには心強い味方がいるからね」

 フェイトちゃんが胸元からそれを取り出す仕草にわたしもみんなも首にかけていたそれを手の平に乗せる。

「これが私たちの魔力も何倍にもするんだよね。使い方さえ間違わなければ」
「大丈夫だよすずか。もう私たちはこの子達の本当の使い方を知ってる。心配なんてないよ」
「それにしてもアースラの強化にも今あるの全部使ったんでしょ? 大盤振る舞いじゃない」
「きっとみんなアルハザードに返すんだと思う。こんなのあったってやっぱりいいことないもん」

 蒼い宝石をその手にしたほんとの意味はこの子達を失くしてしまうこともあるんだと思う。
 事件の始まりであるこの宝石はやっぱり何があっても私たちの世界にあっちゃいけないもののはずだから。 

「けどみんな手にしてるのってそれぞれに因縁のあるやつよね。こうなること最初から知ってのかしらこいつって」
「どうなんだろうね。でもわたしたちの色んなきっかけであることは確かだよね」
「そう、一応はアタシに色々と教えてくれたわけだしね」

 アリサちゃんの初めて相手として魔法の力、使い方、意味を教えたくれたのはこの子。

「うん、でもこの子達のおかげで色んな人と繋がっていけたのは確かだよね」

 身近な人たちだって敵になる、遊びじゃないことを教えてくれたのはすずかちゃんのだ。

「私……この子のおかげでみんなともっと仲良くなれたんだよね」

 迷っていた自分に友達の大切さと進む道を示してくれた子を持つのがフェイトちゃん。

「うん、この子がいたからわたし変われたんだよね」 

 そっと胸に抱きしめて心の中で「ありがとう」を囁く。
 大切な人たちの気持ちと甘える勇気を教えてくれたのがこの子なんだ。

「L・ジュエル……ありがとう」
 
 声に出してもう一度。

『そろそろいい!? ストライカーズ出番だよ!!』

 ゴウン、と重い音と共に通路の先から一条の光が飛びこんでくる。久しぶりの真っ白な煌きに目が慣れるまでちょっとばかり。
 上下に開いていく世界はすでに空で一色に染まっていた。開ききったカタパルトからはアルハザードの風がわたしたちを歓迎してくれた。

『頼んだわね。みんな!』

「はい!!」

 四色の声は綺麗に重なりわたしたちの願いをより強く結びつける。
 
「行こう! リリカル・ストライカーズ出動だよ!!」
「ちょっとそれリーダーの台詞じゃない?」
「まぁまぁアリサちゃん」
「たまにはなのはでもいいと思うけどね。あっ、私はいつでもいいよ!」
「にゃはは! もうみんな~」

 カタパルトの先端まで来ればよりまっさらな青空が望める。不思議なことに上も下も空ばかりで他に何も見えない。
 いつかフェイトちゃんを助けるために結界の中に飛び込んだときもこんな空の只中だったな。ちょっと昔を思い出してしみじみしたり。

「頑張ろうねレイジングハート!」
『All light,my master』

「絶対勝つよバルディッシュ!」
『Yes,sir』

「やってやるわよバーサーカー!」
『Yeah,buddy!』

「信じてるよシルフ!」
『Obey,mistress』

 それぞれの相棒と意志を交わし、誰が言うでもなくわたしたちは手を繋いだ。


 飛び出す――空へ、アルハザードへ、最後の舞台へ!


「我! 使命を受けし者なり!!」

 一句一句に込めるは絶対負けない強い気持ち。

「契約の元、集いし力を解き放て!!」

 この調べに乗せて想いを繋げて。

「風は空に!」

 フェイトちゃんの、

「星は天に!」

 わたしの、

「勇気は剣に!」

 アリサちゃんの、

「希望は翼に!」

 すずかちゃんの、

「煌く願いはこの腕に!! 勇気の魂はこの胸に!!」

 みんなの心が一つになって、

「来たれ光よ!! この手に魔法を!!」

 どんな風にだって負けない、

「レイジングハート!!」
「バルディッシュ!!」
「バーサーカー!!」
「シルフ!!」

 絶対無敵を呼び覚ます!!


「セーーットアーーーップ!!」


 今、わたしたちはこの空を翔ける――!

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