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2007.07/11(Wed)

魔法少女リリカルなのはSTEP 第七話 Apart 


【More・・・】


 この世界から太陽がいなくなって数刻。
 星たちの世界の下、私は目的の場所へ向けひたすら歩いている。
 ほんっと、飛べばあっという間なのに母さんもリニスもダメダメ言ってやんなっちゃう。

「魔力に反応したらって……それくらい私にもわかるよ、もう」

 せめて家の庭にあればいつだって楽に行けるのに。
 後ろに見えた私の家はもう指の先くらいの大きさ。
 丘の上は眺めが良いから大好きだけど、ふもとの此処に来るときだけは嫌いになってしまう。

「でも綺麗だからいいかな」

 急に吹いた悪戯な風が、花びらを飛ばし私を目隠しした。
 月夜を飾る白い精は今宵もひらひらと舞い踊っていた。

「こんばんわ」

 微笑と共に目の前に広がる花畑。月の光を浴びて淡く輝く白い鈴花。
 鈴蘭のような花――リニスはそう言っていた。
 秘密の園は私を快く受け入れてくれる。地面を覆い隠してもまだ足りなそうに咲き誇る花の群れ。一歩踏み入れるたび、葉が擦れてかさかさ音を立てた。

「ほんとにみんな小さい……でもすごく綺麗な花」

 そっと屈んで、頼りなさげな茎にそっと触れて、そのまま指を動かせば淡く輝く花に指が触れる。
 心地よい香りが鼻をくすぐって思わず微笑む。
 でも別に花を愛でるとか、そんなつもりでここに来たわけじゃない。

「また君たちの種、貰っていくね」

 立ち上がり軽く深呼吸。見上げた夜空には煌々とした月。

「落ち着いて……アリシア」

 自分に言い聞かせバルディッシュ・プロトを起動。

「プロト……準備はいい?」
『Yes,Sir.I'm ready』
「うん、いい子」

 そっと左手を天へ。
 プロトの調子はリニスの整備ですごぶる万全。私の心も夜闇のように暗く空っぽにして。

「アルカス――クルタス――レイギアス――」

 願い持たず、死んでしまったように意識を閉じて、

「結ばれし渇望の果実……成就の時来たりて今ここに実を落とさん」

 何か考えればそれがジュエルシードを暴発させる。
 想いの込めない魔法。ただそれだけを心に描いて私は呪文を唱える。

「バルギル――ザルギル――プラウゼル――」

 この瞬間だけは心の中に大好きな母さんやリニス、憎いフェイトもいない。
 空っぽに、黒に蝕まれていく心。もしかしたらこのまま私が消えてしまうように思えて。
 でもそれさえ私は感じてないんだ……。

 それが心を失くすことだから。

「――ハーベストシード」

 トリガーとなる最後の呪文を唱えれば淡く白い輝きは徐々に青い光へ変わっていく。
 花から産み落とされる光は私の周りに集って、今夜の空のように煌いて。

 心が黒から白に塗りつぶされるまではあっと言う間だった。

* * *

「――リシア! アリシア!」
「えっ……わぁ!!」

 突然、目の前一杯に出てきたリニスに思わず飛び退いたら、

「あいっ……たぁ!!」 

 ドサッと豪快に尻餅。
 おしり思いっきり打った……。

「な、い、いいきなりどうしたのよリニス!! び、びっくりしたじゃない!」

 突きつけた人差し指はすごく震えてて、自分でも驚いていることがバレバレだ。
 一体いつからリニスはこんな性質の悪い悪戯をするようになったんだろう。
 リニスはというと私の驚き方に腰に手を当てため息してる。
 ……うわ、主の威厳形無しだ。

「びっくりしてるのは私です。誰だってデバイスを掲げたまま気絶してれば驚きもします」
「え? ……あれ? 私、意識飛んでた?」

 リニスは首を横に振らなかった。
 あはは……そうみたい。

「二度目だから大丈夫だと思ったんだけど」
「どの道その魔法は危険すぎます! 精神を消失させる魔法なんて使い方を間違えれば」
「わかってるよ」

 でもそうしなければジュエルシードは手に入らない。
 母さんのためにも、私のためにもこの種は大切な希望なんだから。

「それにリニスが呼んでくれればいつだって私は戻ってこれるから」

 多分、心を持ってかれなかったのもリニスが名前を呼んでくれたから。
 私だってこの魔法の危険性は十分知っている。さっきのだって気絶してたわけじゃない。
 心を無くしていたから世界が分からなくなっただけ。だからさっきまでここに立っていた私は私の形をした人形。

「人形なのはフェイトだけで十分だしね」

 そうだ。人形はフェイトで私は心の通った人間。

(これだけは厳然たる事実です!)

 なんてリニスの口癖真似てみたり。

「また今度こんなことあったらよろしくね」
「そういうことはまず自分で努力してからですよ。他人頼みが常な子なんて育てたくありません!」
「もう、私が今のご主人様だよ」
「今はそうでも私は元主のプレシアの意志を尊重します」

 まったく強情な子なんだから。
 でもそれがリニスなんだ。一年に満たない時間を一緒に過ごしたけど、リニスにはもうずっと昔から知っている感じがする。

 母さんが私のために使い魔を作ってくれるって話したときに聞いた母さんの昔の使い魔。
 リニスって名前の優秀な使い魔。その名前の響きが私にはすごく心地よくて。

「じゃ~あ私はいつご主人様って認めてくれるの?」
「さぁ、それはあなたの頑張り次第です」

 その後、私は母さんの部屋で見つけたアルハザードの魔法でこっそりリニスをこの世界に呼び戻した。
 あの時のことはいつも鮮やかに思い出せる。
 魔法陣の真ん中でうずくまる山猫を見つけた時、私の心の中に「はじめまして」なんて言葉浮かばなくて。

 初めて出合ったのに、再開なんて有り得ないのに。
 でも懐かしくて、

「勉強は嫌だよ~」
「実戦ばかりで筋肉馬鹿になるのはもっと嫌です」
「ああいえばこう言うー!」
「お互い様ですよ」

 ――お帰りなさい。

 自然とその言葉で彼女を祝福した。

「うう、絶対リニスをぎゃふんと言わせるくらいフェイトよりも立派な魔導師になってやるんだから!」

 その後で母さんから聞いた。リニスはフェイトを教育するために生み出したって。
 だから私の使い魔にしたくなかった。それは母さんの優しさだ。

 でもね、私にとってはそれってすっごく大きなチャンスなんだ。

「ではまず、溜まっている出力関連の勉強をしましょうか」
「……リニスって勉強しか頭にないの?」

 リニスに認めてもらえば私はフェイトからリニスを奪ったってことになる。
 フェイト以上の存在になって、フェイトのことなんて忘れるくらい立派になって、フェイトの居場所を奪える。
 リニスのこと誰よりも、母さんと同じくらいに大好きなんだから。

「はい」
「…………勉強馬鹿」
「聞こえてますよ」

 ……それでももう少しだけ優しくしてくれてもいいんじゃないかな。

「まぁ、いいですけど。それにしても今回は随分な数のジュエルシードを収集したんですね」
「母さんがね、まいてこいって」
「また、あの世界ですか?」

 ううん、と首を振る。
 種を撒くのはもっと別の場所。だからこんなに沢山の花が枯れてしまった。

「この子達は種を取っちゃうと枯れちゃうんだよね」
「元よりジュエルシードを生み出すための装置ですからね」
「駄目だよ……装置なんて言っちゃ。生きてたんだよ、この子達は」

 その命を壊してしまったのは私。
 大事な目標の代償に費やしてしまった命だ。

「すみません……少し言い過ぎました」
「……うん」

 あんなに柔らかに光っていた花はみんな茶色くなってしおれている。
 地面に倒れてしまった花たちは、もう花と呼べない。枯れ草か何かだ。
 私に出来る償い。結局それって自己満足だけど、せめてこの子達を安らかに送って上げられるなら。

「プロト、ご苦労様。戻って」

 再び宝石になったプロトを懐にしまって、私は深呼吸して息を整える。

「アリシア……私は先に戻っていましょうか」
「いいよ、聞いていて」

 目を閉じて、両手広げて。
 夜風を体全体で受け止めて、その風に想いを乗せる。
 すぅ、と静かに大きく息を吸って。
 さぁ、優しく心を込めて、柔らかに――

 歌おう。

* * *
 
「相変わらずの歌姫っぷり、お見事です」

 軽く拍手して心からの賞賛を送る。
 月夜を背景に一曲披露したアリシア。このまま世に出しても恥ずかしくない歌唱力を持っている気がする。

(それは世に言う親バカの類ですが)

 環境的に言うことないアルハザードだが一つだけ致命的欠陥がある。
 手付かずの自然ばかり――つまりは娯楽設備がない。暇を持て余しきりという現状。

「えへへ、ありがと」
「この花たちも安らかに逝けたでしょう」

 私など読書するなりして効率の良い余暇の消費は出来ているのだが。

「なんか今度は賑やかな曲とか歌ってみたいなぁ」
「ミッドに出かける機会があったら探してみましょう」
「うん!」

 嬉しそうにはしゃいで、体全体で喜びを表す。
 流石に遊び盛りの十歳。アリシアにとって自然と戯れるだけでは当然飽きが来るもので。
 私自身、いろいろ遊びになりそうなものを考えてみたがこれといったものはなくて。

 打開策に詰まって、どうしようかと思った挙句、苦し紛れに教えた歌。
 これもミッドで立ち寄った店でたまたま流れていたのが印象に残っていた程度なのだが。

「じゃあ早速明日にでも」
「いけません! まずは体調を整えて、です!」

 だが思いの外これがアリシアにはあっていたようで。
 道具を必要とせず体一つで出来るという事実は、この世界に対しては類まれなる順応性を秘めていたのだ。
 それからというのもアリシアの暇つぶし対策に魔法の授業の合間に時折組み込んでいる。

(しかし、まさかプレシアが許可してくれるとは)

 一応念のため、プレシアにこの件に関して許可を願ったところ二つ返事で承諾された。
 娘の教育には必要だと考えたのか、はたまた娘のことを思ってか。それは全く見当がつかないのだが。

「魔法も歌も、自分の体が資本なのですから。いいですかアリシア――」

 どうせ歌をやるならここは徹底的に。生憎、教材の取り寄せに関しては無限に財力があるので――よく出来た偽造通貨なのは目を瞑ってほしい――事欠かない。 

 まずどんなことも最高の環境で。鉄は熱いうちに叩けるだけ叩く!

「お説教はたくさんだよ!」
「ちょ! まだ話は終わってません! 待ちなさいアリシアーッ!!」

 脱兎はあっと言う間に花畑を抜け来た道を戻っていた。
 慌てて追うも一足遅れた。すでアリシアは最高速度。

「猫に戻れば追いつけるよ~」

 見透かしたようにアリシアの失礼極まりない一言。
 私がこの足で追いつけないことを知った上とは……ムカつきます。

「こ、この後が怖いですからね! 覚悟しなさいアリシア~!!」

 本当に時々、この子は大魔導師プレシアの娘なのかと信じたくなくなる。

 ああ、頭が痛い……頭痛薬ありましたっけ?

* * *

 中心街からそう遠くない場所。
 星々輝く空に金色はよく映える。

「バルディッシュ!! ランサーセット!」
『Yes,Sir』

 総じて十発、狙いはただ一つ。

『Photon javelin』
「蹴散らして! プロト!!」

 雷光の塊、その数二つ。
 あっちもあっちで準備完了。

「ファイア!!」
「ファイアーーーッ!!」

 発射と同時に身を屈め飛翔!

 ランサーは相手の弾頭へ次々に飛び込ませ相殺、これで一つ!
 即座にサイズフォームを起動させ、もう一発の横をすり抜ける。
 ランサーより何倍も大きい魔法。けどそれが仇になって機動性は全然ない。

「はぁぁぁぁ!!」
「くっ! プロト、ランス!」
『Lance form』

 アリシアのバルデイッシュも変形。斧刃が立ち上がり天を指す。
 生まれる金色の刃、黒き槍を引っさげアリシアが向かい打ってくる。

「でぇ! せぇい!」

 先に仕掛けてきたのはアリシア。まずは上から一閃。大振りだから当たるわけがない。
 続けて腰を捻っての横薙ぎ。すかさずバルデッシュで受け止め軽くいなす。

「そのくらいで!」

 弾くと同時に、横薙ぎでこちらも反撃。
 だけど手応えなし。切っ先が触れる直前、上体を落とし潜り抜けられた。
 大した反射神経だ。

「ざ~んねん!」

 杖を回し、仰け反り大きく振りかぶる。
 同時にシステム音。

『Ax bite』

 斧!? 

「せええええりゃ!!」

 全体重を乗せた斬撃。
 電撃を帯びた斧に光る不釣合いなほど大きな刃。

(受け止めきれる!? ――無理だ!)

「ブリッツ!」

 即座に判断、高速移動。
 後方へ距離をとると同時に、空を切り裂いた刃が音と衝撃を吐き出す。
 打ち付ける旋風に思わず背筋が凍った。

「こっの!」

 下手に受け止めていればバルディッシュごと真っ二つになっていただろう。
 殺傷設定ならただでは済まない。

「サンダースマッシャー!!」

 なら、この距離で。

「ボルトスマッシャー!!」

 合わせるようにアリシアも雷撃。あの時の砲撃魔法だ。
 迸る雷は大気を焼き焦がして一直線に翔ける。
 私は一つ、アリシアは三つ。正面からのぶつかり合いじゃ最初から勝ち目なんてない、か。

「だけどこんな出力便りじゃ!」

 もう一度、加速。
 同時に相殺されるスマッシャー。残りの二発はすでに私に進路を変えている。

 でも、もう遅い。

「アークセイバー!」

 一撃、渾身の振りで鎌を解き放った。
 すかさず突っ込んで来た一発目をすれ違うように回避。さらに横から襲い掛かる二発目を体を落として一気にかわす。
 そして鎌を再装填しさらに一撃。

「ブラスト!!」

 アリシアが気づく前に挟み打つ光刃を起爆させる。
 これで視界は奪い取った。
 威力ばかり上げる余りアリシアのスマッシャーは弾速、挙動が鈍い。だから冷静になれば簡単に避けられる。
 接近戦でも力任せの攻撃ばかりだ。
 研ぎ澄ますことをアリシアは全くしていない。

「バルディッシュ! 準備はいいね?」
『Get set』
「よし、いい子!」

 ――決める。

 勝負はあの煙が晴れた時。

「雷光、剣となれ! 切り裂け闇を!」

 クロノに教えてもらったこの魔法でアリシアを倒す。
 そしてなんでこんなことをしているのか。母さんの目的が何なのか全部聞かせてもらう。

 空が見えた――

「サンダーブレイド!!」

 極限まで加速された金色の剣が私の横から嵐のように飛び立った。
 サンダーレイジのように相手を拘束しない分、威力も、速さも増している。これだけの物アリシアは絶対にかわせない。
 アリシアは驚いていた。
 あれだけの大出力魔法の後、私の読みどおりアリシアは何の準備もしてなかった。

(これで――勝てる!)

 確信した。

 なのにアリシアは鼻で笑って、冷たい瞳をして何かを紡いで、
 
 ――それだけ?

『Sonic move』
 
 大気が嘶いた。
 飛翔なんて生易しい表現じゃなかった。
 十三発の雷剣の舞踏。その只中を縫うように、あっさり苦もなく、踊るように避けていく。
 上へ下へ、右に左に、私の想像をとうに超えた動き方。
 宙返り、回って、高く飛んで、剣が道を作っているようにさえ見えた。

「甘いね、フェイトは」

 正直、目で追ってられたのは最初だけだ。後はまともに視認すらさせてくれなかった。
 ただなんとなく、アリシアはここにいるだろうなんておぼろげに考えていて。
 あっという間にアリシアは私の目の前で笑っていた。

『Lance lunge』

 手首、肩、そして背中に光の羽。
 初めて会ったときは飾りかと思ってたけど、これって高速移動用の補助魔法……?

 完全に反応できなかった。
 構え直す一瞬すらアリシアの一突きの前に砕かれた。

「うっ……く……ぅ」

 喉元へ突きつけられた切っ先。
 唾を飲み込むことさえ許されず私はその場に貼り付けられた。

「大丈夫……消しはしないって言ったでしょ?」

 口元を歪めて、アリシアが嘲笑うようにくすくす笑う。
 自信に、勝利に酔った目。
 どこか肉食獣みたいに残酷で、私の命を握っていることがそんなに嬉しいのか。

「でも結構頑張ったよね。だから教えてあげる、私が何でこんなことしているのか」

 紡がれる答え。
 それすら満足に聞けない姿勢で、私はいま自分を包んでいる状況に打ちのめされていた。

「私はあなたとは違う……知ってる魔法も、得意な戦い方も」

 少しだけ切っ先が喉に食い込んだ。

「私はフェイトじゃない……アリシアだから」

 赤い瞳が私を睨み続ける。
 炎みたいに揺らめいて、憎しみしか映してない。

「優しい母さんだっている。その母さんのお願いだから、ジュエルシードでこの世界にも夢を見させるようにって」
「ゆ……め?」
「だけどあの種はもうまいちゃったからね。この種は増えないから、うんと沢山まかなきゃいけない」

 ほんと面倒なんだから。
 付け足してアリシアがため息。でも顔はどこか楽しそうだった。

「フェイトに会えるんだからね、何度だってまきに来れるよ」
「そん……なこと……させない」
「じゃあ今度はこうならないようにね」

 なるわけがない。今のは油断してただけ。
 アリシアがこんな魔法使ってくるなんてわからなかったから。

 ……そんなの負け惜しみでしかないのに。

「それじゃ今日はさよなら。あんまり寄り道してると母さんにしかられるからね」

 軽やかに後ろへ飛んでデバイスをしまう。
 敵の目の前でそんなことするなんて私じゃ考えられない。撃ってくださいって言ってるようなものなのに。

「リニス! 帰るよ!」

 呼ばれ、すぐにリニスが飛んでくる。
 アルフが相手をしていたはずなのに法衣に乱れがほとんどない。

(……アルフ、返事して)
(あたしはなんとか大丈夫。でもごめん……バインドされて動けない)

 無事、みたいだ。
 ……良かった。

「ふぅ、ようやく終わりですか。まぁ、こちらは眺めてるだけでしたけど」

 言って私を一瞥する。
 冷徹というには程遠い表情。どちらかといえば困ってる、呆れてるような感じがした。

「今回はフェイトの悪いクセに助けられましたね。甘く見て六十点です」
「え~!? だって私が勝ったんだよ!」
「もっと上の魔導師ならあんな隙だらけではすぐにやられますよ」

 手厳しい意見だけどリニスの言うことは最もだ。
 アリシアは納得いかないようで頬を膨らませているけど。

「余裕は身を滅ぼします。派手に見せることが戦いではないのです」
「ふん……わかってますよーー」

 膨れるアリシアにやれやれとお手上げするリニス。
 前もそうだけど、二人が一緒になると途端に緊張感がなくなる気がする。

「もう、帰るよ」
「はい、では帰って今日のおさらいでも」
「しないから」
「しますよ」

 それって心から信頼しあって、気を許してるから。
 昔の私よりも、リニスに自分を見せているから?

「ではまたのご機会にでも。それとフェイト、一つ忠告を。何事も、結果が出なければ終わりではありませんよ」 

 光と共に二人が消える。
 転送魔法の残滓が風に流されていく中で、私は自分の敗北をもう一度噛み締めていた。
 
 ――すごく……悔しい。

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