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2007.07/11(Wed)

魔法少女リリカルなのはSTEP 第六話 Apart 


【More・・・】


「わたし……負けないよ。それで二人が納得してくるなら」
『Shooting mode set up』

 砲へと形を変える杖。


「アタシだって負けるつもりさらさらないから」
『Hammer position set up』

 槌へと形を変える杖。


「全力全開……力の差、見せて上げるから」

 ゆっくりとレイジングハートを掲げればわたしの周りを光が囲む。


「いいわよ、来なさい……返り討ちにしてあげる」

 ゆっくりとバーサーカーを肩に担いで魔力を高める。


 目に映るのは大事な友達。
 相手が何を考え、どんな気持ちか知らないけれど自分の気持ちは決まってる。


「バーサーカー! Go!!」
 
 ――ただ、


「行くよ! レイジングハート!!」

 ――この気持ちを、


「「いっけーー!!」」


 ――ぶつけるだけ!!

* * *

 私のクラスで事件が起きている。
 別に物が無くなったとか、そういう類のものではない。だけどそれ以上にクラスの雰囲気が揺らいでしまう事件なのは確かだった。

「うん、出来るだけそっとしておいて欲しいかな」

 事の真相を聞いてくる子達には同じ返事であしらって。
 私としてはいい加減そんな対応にももう辟易し始めてる始末で。
 やっぱり止めなきゃいけないと思う。だけどそれでもいいと思っている意地悪な私もいる。

(悪いのは……どっちもなんだよね)

 どっちも意固地になって。きっと正しいとか間違っているとか、確信できるものは一切無くて。
 あんなに仲が良かった二人が口も聞かない、顔も合わせない。不気味なほど他人になってる。

「ごめんすずか……今日は一人でお昼食べて」
「うん……じゃあ」

 少しずつ、少しずつだけど、私たち三人の絆にヒビが入り始めていた。
 でもそれを止めることは出来なくて、ただ手を拱いて眺めていることしか私には出来ない。
 
 ただ一つだけ、多分この場合は救いなんだろう。私と同じように悩む人がいた。

(今……いいかな? ユーノ君)

 お弁当箱を開けながら、念話で遠く離れたその人にそっと話しかける。

(すずか? うん、僕も話したかった)

 アリサちゃんの隣には私が、なのはちゃんの隣にはユーノ君が。
 同じ悩みを分かち合い、今を変えようと、変えなきゃいけないと思ってる人。

(最近なのはちゃんはどう?)
(なんだか荒々しくなってる……魔法の使い方が滅茶苦茶だ)
(私たちのこと何か言ってた?)
(何も……)

 私たちがジュエルシードを集め始めてから、その回収する早さも格段に上がった。
 すでに発動しているもの、特に力の強いものはなのはちゃんが。魔力の少ないものや発動しかかってるのは私が感知してアリサちゃんと封印する。

(皮肉だよね……こうやって仲違いしてるほうが成果を上げられるなんて)
(ほんとだね……私たちも二人だけのおかげでどんどん実力がついてる)

 それは逆に、日常の私たちを蝕んでいく。
 もしも魔法の代償が私たちの絆なら、今すぐこの力を捨ててしまっていいのかもしれない。

(でもこんなの違う……なのはちゃんの心を傷つけるために魔導師になったわけじゃないよ)

 傷つくのが嫌だから、守りたかったから。

(それはなのはも同じだと思う。まだあの時のこと責任感じてる……それに怖いんだと思う)
(怖い?)
(この前のこと。もしすずかやアリサが命に関わるような危険に巻き込まれたらって)

 なのはちゃんなりの思いやり……なんだよね。
 だけど自分のことを棚に上げて。
 
 自分はそうなってもいいって言ってるのと同じだよ、それって。

(私たちのせいなのかな……やっぱり)
(ううん、すずかは正しいよ。結局みんな自分が正しいって思えるから引き下がれないだけなんだ)

 本当にユーノ君の言うことは的確だ。どっちも贔屓にしないで公平に物事を捉えてる。
 こういう時、客観的に判断してくれる人はとても頼もしい。私はまだ子供だからどんなに背伸びしても、最後はきっと自分の意見しか信じない。

(守りたい……でも守られたいとは思ってない。すずかもそう思ってる?)
(うん、見てることしか出来ないなんて辛いから)

 そうだよね、シルフ。
 右手の薬指に嵌められた指輪。嵌められた宝石は私の問いに答えるように微かに青い輝きを見せた。

(なのはもそうだよ。なのはなりの守りたいって気持ちがあの態度なんだと思う)
(なのはちゃんなりの……)

 だったら私の気持ちってすごい一方通行なものなんじゃないかな……。
 気持ちを押し付けてるだけ……でも押し付けなきゃなのはちゃんは守れない。

(それが間違った考えなのかな)
(どうだろうね……でも最後に決めるのは自分自身だよ)
(そうだよね。私まだ自分がなんで魔法少女になったか答え見つけてないよね)

 探すのに必死になりすぎて……空回りしてる。
 そんな感じなんだと思う。

(だからって焦るのは禁物)
(うん、わかってる)

 一人きりのお弁当は悲しくなるくらいに寂しくて。こんなに早く終わっちゃうんだとしみじみ思って。
 アリサちゃんもなのはちゃんもそう思ってるのかな……?

(あと、僕の勝手な考えだけどさ……もうみんな答えは見つけてるんじゃないかな) 
(……え?)
(きっとさ、きっかけが見つからないからこうやってるだけで)

 そんな答えなんて見つかってないよ。
 今の私にある答えを言葉にするならなのはちゃんを守りたいってこと。
 
 守られるより……守りたい。
 
 でもそれはなのはちゃんも同じで。
 
 守りたいから……傷つけたくないから。

(…………あれ?)

 ――そうなんだ、同じなんだ。

 私もアリサちゃんもなのはちゃんも心の中にある気持ちは同じ。

(そっか……じゃあ私たちほんとに気づかなかっただけなんだ)

 答えはいつもすぐそばにあって、だけど私たちは自分の気持ちだけを見つめるのに精一杯で。
 足元で待ってくれているその子に全然気づいてあげられなかった。

(……うん、やっぱり私たち仲良しだね)

 最初から答えは此処にあった。見つけてたんだから見つからないのは当たり前だ。

(ありがとユーノ君……あなたのおかげでようやく気づけた)
(お礼を言えるのは僕の方だよ。すずかじゃなきゃできないんだから)
(でもユーノ君でも出来るよ)
(出来ないと思う。それだけ三人の絆って強いから。なのはに聞いたら誰だってわかるよ)

 少し寂しげに、どこか羨ましそうにユーノ君が呟く。

(きっとみんな待ってるよ。だからすずか、もう一度みんなに笑顔を運んで)
(うん、大丈夫だよ)

 さぁっ、と頬を何かが触れていく。
 誰かと思って隣を見れば、全開の窓から気まぐれなそよ風が遊びに来ていた。
 緑の香りにまだ季節が春なんだと感じ、五月晴れの空に自然と私は微笑んで。

「運べるよね……私にも」

 言葉は風に乗ってきっと届く。
 
 そう、私の答えは――。

* * *

 昼休み、放課後、夜――。

 不定期に舞い込んでくるジュエルシードを、アタシはがむしゃらにぶつかって封印して。

「こんの! いい加減にしなさいっ!!」

 真っ黒な霧の塊へ振り下ろす一撃は容赦なく相手の体を打ち砕き。

「バーサーカー! 封印!」
『Yeah!』

 その体に秘めた種を有無を言わさず奪い取った。

「こんな相手に負けてらんないのよ!!」

 吐き捨てるように一薙ぎして、四本の筒から濛々と出る煙を振り払った。

 なのはに負けたくない!

 ここ数日、考えていることはそればっかり。
 本当はもっと違うことを考えるべきなのに、アタシの頭はいつでもそれを良しとしなかった。

「アリサちゃん……大丈夫?」
「ええ、で次はどこ?」
「……今日は終わりじゃ……ないの?」
「当たり前でしょ!」

 文句みたいに、怒気を含ませた声ですずかに向き直る。
 思った以上の大きさの声に内心驚きながら、謝るのもなんだか格好悪いのでそっぽを向いた。

「でも二つも封印できたんだし今日はもういいんじゃないかな」

 戸惑いがちの声にアタシは頑として頷かない。
 こんなんじゃなのはにとっていい笑いの種だ。この程度で満足してたらなのはに到底追いつけない。

「せめて数で上回らなきゃ。悔しくないの、なのはにああ言われて」
「でもあれは……」
「弱いから引っ込んでなさい……そう言ってるのと大して変わらないのよ」

 あれを屈辱と思わない人間はいないだろう。
 見返さなきゃいけないのだ。なのはにアタシたちが立派に戦えて手助けできる魔法使いであると。

「だからすずか」
「……わかった」

 すずかがゆっくりと杖を掲げて地面に突き立てる。
 魔法陣が広がってすずかは念じるように目を閉じた。

『Area search』

 シルフの声を合図に杖の先から光が放たれる。
 ある程度の高さまで上ると、続けて輪のように光は広がりながら町全体を包み込んでいった。
 そうやってすずかがジュエルシードを見つけるまでは一分も掛からなかった。

「ここから東北東に一つ……南西に一つ。どっちも魔力は帯びてるけど発動しかかってるわけじゃないよ」
「じゃあさっさと行って片付けましょ」
「でも、今日のうちじゃなくても」

 それがどうした。どう考えても先手必勝じゃない。

「そうやってなのはの仕事増やす気? 本末転倒でしょ」
「そんな訳じゃないけど……あのアリサちゃん、私ね」
「あんたが行かないならアタシ一人で行くわ」
「えっ! あ、アリサちゃん!!」

 すずかがどう返事したかなんてもう聞こえない。すでにアタシは空の上。

「よく考えたらそうじゃない。アタシ一人でも出来るって証明するいい機会よ!」

 二人じゃなきゃ何にも出来ないなんてもう言わせない。
 連携運用じゃなきゃ駄目なんて作った人の決まりごと。使ってるアタシにはそんなの関係ない。
 バーサーカーだけだって出来るに決まってる。

「でしょ?」
『Yeah,though it does depending on you』(そうだな。まぁ、君にもよるがな)

 アタシ次第……か。
 ほんと言ってくれるじゃない。だったら尚更見せてやろうじゃない。

「まずは南西!」
『It's oppsite』(逆だ)
「わかってるわよ!!」

 アタシだってこれが最良の選択だなんて思ってないんだからね。
 
 なのは……あんただってそうなんでしょ?

* * *

「これで終わり!!」

 六つのスフィアを従えて、一気に回り込んだのは相手の真下。真っ暗なのはそれだけ相手が大きいから。
 前は子猫だったけど今度は大きな野良猫。俊敏で鋭い爪に油断は出来ない。
 でも、ただ大きくなっただけ。
 大きくなっただけだから負けようがない。

「レイジングハート! 準備は?」
『All right.Here you are』
「オッケー! ディバインバスターーッ!!」

 爆音が全身を揺さぶり、桜色の光が噴水みたいに巨体を押し上げ空へと吹き飛ばす。
 バランスを崩すもそこは猫。体をゴムみたいに捻って足先を地面へ向けようとする。

 だけど!

「ディバインシューター!!」

 こっちだって考えているんだ。
 制御限界ぎりぎりのシューターを天へと打ち上げ、

「アタック!」

 上下左右、四方八方からシューターを叩きつけそれすら満足にさせはしない。
 光の軌跡を残しながら次々と炸裂するシューター。弾けるたびに欠片が星のように空を飾る。
 流石に可愛そうだと思った。でもそれならジュエルシードに取り付かれている今が一番可愛そう。

「シーリングモード!」

 背中を向けて落ちてくる猫に狙いを定めフルドライブ。

「リリカルマジカル! ジュエルシード封印!!」

 光弾け一瞬にしてわたしを覆っていた影が消えた。見上げれば三毛猫一匹にジュエルシード。
 慌てて手を伸ばすけど猫はするりと手を交わし着地。お礼の代わりか一声鳴いて茂みの中へ消えていった。

「封印完了だね」

 後に残ったのは今日二個目のジュエルシード。
 レイジングハートに収納してほっと一息。

「お疲れ様、なのは」
「うん。じゃあ後残ってるの封印しよう」
「でも今日はもうないんじゃ」

 首を横に振る。そう、今までなら全然ない。
 今は違う。わたしにだって先手を打てる方法があるんだ。

「エイミィさん、悪いんですけどすずかちゃんがエリアサーチした座標転送してください」
「なのは?」
『あ、え? い、いいけどでもすずかちゃんに断ったの?』
「こんなのに断るとかないですよ。やれるときに危険な芽は摘み取らないと」

 確かにこれはずるい方法だと思う。協力なんてしてないけど、アースラ経由なんだから共通の情報なんだ。
 勝手な理屈で自分を納得させて、すぐに転送された座標を確認する。

「なのは、いくらなんでもよくないよ。それにそういうのは二人に任せたほうが」
「任せちゃ駄目なの! もしもがあったらいけないんだよ。だからその前にわたしが封印する!」

 場所は二つ。どっちもすぐに封印して日没前に今日の分を終わらせる。

「……あのさ、なのは。代わりに行ってそのもしもになのはが巻き込まれたら」
「でもアリサちゃんやすずかちゃんよりかはずっと危険は無いよ」
「そうかもしれないけど……」

 言っても聞かない二人だ。喧嘩したって今度だけは絶対にわたしは引き下がらない。
 大体二人が魔導師になんてならなきゃこんなことにはならなかったんだ。
 分け合って欲しいのは気持ち。それ以上に手をさし伸べられて逆に迷惑かけるなんて嫌だ。

『なのはちゃん!!』
「ど、どうしたんですか!?」

 急にエイミィさんの声色が変わった。
 まさかL・ジュエルの発動!?

『今の座標の一つから膨大な魔力反応……待ち伏せしてたみたいにいきなり大きくなって』
「待ち伏せって……まさか二人が?」
『ううん、先行しているのアリサちゃんだけ』
「嘘だろ……なんで一人だけで」

 わたしと同じ気持ちをユーノくんが隣で呟く。
 なんで一人で……。

『すずかちゃんならともかく防御のないデバイスじゃ……連携しなきゃ駄目だって艦長からも言われてたのに』

 エイミィさんの言うとおりだ。あのデバイスはそのための二本なのに、最初から片方だけで行ったって絶対うまく行くはずがない。

「とにかくすぐ向かいます! ユーノくん、すぐ転送を!」
「わかってるよ! 急がなきゃいけない!」 

 こっちには転送魔法がある。だから最悪の展開になんてわたしが絶対させない。
 ユーノくんの魔力光に身を包まれながらレイジングハートをシューティングモードに変形させ、すぐに飛び出せるよう準備をして。

「僕もすぐに後追うから!」
「うん!」

 アリサちゃん、なんで一人で飛び出したんだろう。
 自分の実力とか、デバイスの得意なとことか全部勉強はしているはずだ。なのにそれでも一人行くなんて。
 すずかちゃんが怪我したのだろうか。そんなわけない。あんな強力なシールドを張れるのに。

 じゃあなんで……。

「アリサちゃん!!」

 転送された座標は目標が見渡せるよう空の上。そうしてわたしはすぐに叫んでいた。
 すごく大きな岩の巨人が、今まさにアリサちゃんを押し潰そうとしていたから。

「こんの!!」

 ディバインシューター装填! ターゲットロック!

「シュートッ!!」

 もう絶対に友達は傷つかせないって決めたんだ。
 巨人の右腕を最初に弾き飛ばしてアリサちゃんを助ける。そのまま二発を回り込ませて正面から叩きつけて。
 あと残りは足元をすくうように踵にぶつけて、重心を崩して、巨人を地面へ叩きつける。

「ディバイーン……バスターーーッ!!」

 岩の塊みたいな体をしてるだけあって、倒れた轟音はここにいても頭の中にぐわんぐわん響く。
 それすら聞き終える前に巨人を真下にディバインシューターをこれでもかと浴びせた。

『Sealing mode set up』

 わたしの意志を汲み取ったレイジングハートはもう変形を終えている。

 もう後は!

「これで三個目! ジュエルシード封っ印!!」

 繰り出される光の乱舞を前に勝利を確信して、だけど心は他に別のことを考えていて。
 なんでアリサちゃんが飛び出していったのか。原因は何なのか。
 もしかしてそれは全部わたしが原因じゃないかって。だってあの時わたしは確かにそう言ったんだ。

 二人揃わないと満足に戦えないって。

 それって馬鹿にして見下してるのと変わらないよ。でもそうでも言わないと二人が止めてくれないって思ったからで……。
 嫌だな、わたし。これじゃ言い訳してるだけだよ。

「……なのは」

 わたしが降り立つと同時に呆然としながらアリサちゃんが名前を呼んだ。
 少しバリアジャケットが汚れてたけど、元気なアリサちゃんそのままでわたしは心の中じゃすごくほっとして。

「どういうこと……アリサちゃん」

 なのに口から出た言葉は全くの正反対の気持ちで。
 すごく素っ気無く、ほんとに他人みたいに言い放って。

 ほんとのわたしの気持ちはどこにあるんだろう。

 こうなっちゃうんなら最初から一緒にいればよかった。

 ――分け合いたいから。

 でも一緒にいちゃいけない。

 ――傷つけてしまうから。

 傷つけてしまうの? 

 ――あんな怖い思いをすれば誰だって。

 だから一人で傷つくの? 

 ――二人よりは傷つかない自信がある。

 なんでそこまでしたいの? 

 ――みんなを守りたい。大切で大好きだから。

 じゃあわたしを守ってくれる人は?

「わたし……負けないよ。それで二人が納得してくれるなら」

 だから探してる。ほんとのわたしを。

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