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2007.10/28(Sun)

守り手 ~エピローグ~ 


【More・・・】




「ぶち抜けぇぇ!!」


 憤怒と共に振り下ろされた激渇は今まで主を守り続けていた堅牢を物の見事に粉砕させて見せた。
 砕かれた光は虚空に消え、鉄槌の前にあるのは杖と少女の体だけ。
 既に勝負は決している。緋色の怒りを止められるものはもうここにはない。

「きゃぁぁっ!!」

 手負いの杖は一撃を前に容易く砕け散る。止まらない切っ先がバリアジャケットを引きちぎり彼女から悲鳴を引きずり出す。
 壁に叩きつけられて崩れゆく体。立つことさえ叶わない、全身が痛くてそれどころではない。
 今までこんなになるまで痛めつけられてなかった少女にとって、この敗北は少女なりの自信がへし折られた瞬間でもあった。

「…………」

 勝者は無言で歩んでくる。あの時、ディバインバスターが彼女の帽子を吹き飛ばした時からこの調子だ。きっと大切なものだったに違いなかった。
 不可抗力とはいえ彼女の導火線に火をつけてしまったこと。したくないけど後悔した。
 彼女の右手がゆっくりと振り上がっていく。それは彼女としても本来の目的から逸脱した行為。人を傷つけることは主から固く禁じられていた。その誓いを彼女は破ろうとしている。
 破るも何も我を失っていてそんなことは忘却の彼方。それだけ帽子を壊した罪は重い。少女にとって主の思いが詰まった物を壊すものは誰であろうと万死に値するのだ。

「……ぁ」

 残る力全てで左手を傷だらけの相棒を掲げようとする。震え、焦点さえもはや定まらない杖はそれでも諦めはしない不屈の魂の表れか。そんなもの、もう少女にとって無意味なものでしかないのに。

(これで……終わりなの……?)

 敗北だけでない、その先にある結末。少女の中にはっきりとそのビジョンが構築されていく。
 こんな所で自分は終わってしまうのか。あまりにあっけなさすぎる。

(やだよ……いやだよ……)

 蒼い目をぎらつかせて少女の右手が頂点まで掲げられた。その目に映る憎悪は少女を簡単に恐怖させる。
 一人で、真っ直ぐな正義感で立ち向かってこの有様。まだ名前も、目的も、何もかも知らない相手に今自分は倒されようとしている。

 助けは――ない。でも少女は願った。

(クロノくん……)

 共に戦った仲間を、

(フェイトちゃん)

 かけがえのない親友を、

 振り下ろされようとする槌を彼女は双眸を固く閉じて見ることさえ拒否した。完全に少女は戦うことを、諦めないことを、放棄した。

(……ユーノくん!)

 会いたい、助けて欲しい、隣にいてほしい――!

 片羽なのだ。
 結局、自分は無理やりそれで今日まで飛んできてそれを目の前の少女に叩き落された。それだけ。

 だからやっぱりいて欲しい。

 だから強く願った――。

「なぁっ!?」

 何かが激しく衝突する音。聞こえた声は凄く驚いていて、槌は自分を喰らっていなかった。
 ゆっくりと開いかれた視界。激しく明滅する光の中で誰かが自分とあの少女の間に立ち塞がっていた。
 激しく翻るマントは新調したのか凄く綺麗で、覗く背中は凄く大きく見えた。風に遊ばれる淡い亜麻色の髪はあの時とほとんど変わらない。
 
 そこに来るはずのない人物をはっきりと少女に認識させていく。
 
 少女の目に留まる彼の右腕に巻かれた何か。それはあの日自分の代わりに彼を見守ってくれるように、願いを込めた対のリボン。
 あの時と変わらない色。風に乗って激しく揺らめくその姿はすぐに傷ついてしまいそうな儚さを持っている。それでも傷もほつれも、何もないのは彼が約束を守っていた証。
 
 ――少年は誓った。

 どんな怒りも憎しみも、この右腕に巻かれたリボンには絶対触れさせないと。
 
 そして自分の後ろにいるであろう少女には何人たりとも触れさせないと。

「ハァッ!」

 鋼の決意は鉄の暴力を絶対に届かせはしない。
 一際大きな音が響き、緋色が後ろへ退いた。

「なんだてめぇ……」

 忌々しげに少年を睨み吐き捨てる。

「仲間か……」

 少年はゆっくりと少女を傷つけた相手へ刹那の睨みと共に答えをぶつける。


 そのためにここに来た。

 大切な人を守るために、守り手になるために、僕はここにいる。

 高町なのはを守るためにユーノ・スクライアはここにいる。


 だから自分はなのはの、


「――盾だ!」


 新しい始まり、A'sとその守り手の物語が今ここに――。


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