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2007.09/09(Sun)

守り手 12.5話 


【More・・・】


 チクタク、チクタクと時計の針の音だけひっきりなしに聞こえる。
 今日は日曜日。本当なら今の時間、私はユーノくんに町を案内してあげてるんだろう。
 でも当人であるユーノくんは時空管理局の手伝いでここにはいない。アリサちゃんやすずかちゃんは今日はいろいろと忙しくらしく一緒に遊ぼうなんて誘えない。

「はぁ……」

 ため息をついた。
 なんだかこうやって一人ベッドに寝転がっているのも久しぶり。ユーノくんと出会って、お手伝いをして、フェイトちゃんと友達になって……。
 そんなことが起こる前のわたしに逆戻りしていた。元々自分の部屋なんだから他に誰かがいる、なんてことはないのに。
 それだけユーノくんと一緒にいることが当たり前になっていたのだろうか。

「……ふぁぁ」

 今度はあくび。
 いつまでもパジャマ姿になっているのもだらしないのでわたしは身支度するため一階に降りた。洗面所で顔を洗い、歯を磨いて、二階に戻って着替えてまた一階に降りる。

「……そっか」

 テーブル上に置いてあるメモを見てわたしは自分が朝寝坊をしていることを始めて知った。

『ねぼすけのなのはへ 日曜だからってあんまり寝てちゃだめだぞ。朝ごはん、ちゃんと食べてね  桃子』

「うん、いただきます」

 ラップを取って料理に口をつける。お母さんだけあって冷めていてもおいしかった。
 ふと見た時計は九時を指していた。二時間とちょっとの朝寝坊。
 お父さんとお母さんは今頃お店の準備で忙しいはずだ。お兄ちゃんは確か忍さんとデート。お姉ちゃんは友達と遊びにいったはず。

 わたし以外に音を出すものがいないリビング。気晴らしにテレビをつけてみた。
 ちょうどアニメの時間だった。可愛らしい女の子がハート型のステッキ片手に魔法で事件を解決していくそんなお話。
 うちのクラスでもそこそこの話題に上るものでわたしたちもよくその話をしていたりする。ちなみにDVDでちゃんと全話録画していたり。

「…………」

 かくいうわたしもレイジングハート片手にちょっと前までブラウン管の女子と同じように魔法をつかっていて他人事、とは思わなかったり。むしろ親近感さえ覚えています。
 そういえばユーノくんは初めてこのアニメを見たとき驚いてたな。この世界にも魔法があるんだ、って。……フィクションだけどね。
 遅めの朝食はすぐに終わった。同時にアニメもEDテーマが終わり次回予告に移る。

『――どんな思い出も大切な宝物! だから絶対譲らないっ!』

 主人公の決め台詞。どうやらついに来週はライバルの男の子と戦うみたいだ。
 なんだかわたしとフェイトちゃんみたい。でも一つ違うのは女の子がその男の子のことを好きになっていること。このアニメの見所の一つでもある。
 誰かを好きになること。友達としてでなく大切な人として。
 よく言う運命の人、白馬の王子様。

「そんな人、いないよ……」

 まだ九歳ということで当然といえば当然なんだけど。
 男の子のことを好きになる気持ち。それってどんなものなんだろう。

「ユーノくんどうしてるかなぁ」

 時空管理局からどんな用事で呼ばれたのか詳しい話は聞かなかったから余計に気になってしまう。
 もしかしたらフェイトちゃんと会えるのかも。そう思うと少しユーノくんのことが羨ましくなった。そしたらクロノくんとも会うわけだから。

「またケンカするのかな」

 クロノくん相手だとユーノくんはなぜだかすごくムキになる。ケンカするほど仲がいいって言葉があるから多分あれが男の子の友情、みたいなものなんだろう。
 それにしても二人が言い争ってる姿は思い返すと本当に可笑しい。二人ともいつもの雰囲気と全然違う。子供みたいだ。
 ユーノくんがあんな顔することは多分わたしの前じゃないだろうし。なぜだか心がウキウキしてくる。

「でももし……」

 もし何か事件のお手伝いだったら大丈夫だろうか。みんないるから大丈夫だろうけど。

 でももしものことがあったら……。

 考えたくないけど考えてしまう。ユーノくんっていつも周りのことばかり気にして自分のことほとんど考えてないし。

 気がつけばわたしの頭の中はユーノくんのことで一杯だった。
 二階に上がり自分の部屋へ行く。
 ドアを開けて最初に見るのは机の上のバスケット。いつもそこにいるはずの彼はいなかった。
 もしかしたら用事も済んでいつものようにわたしにお帰りを言ってくれる、そう思いたかった。

「ふぅ」

 ベッドに腰をかけ、そのまま横になった。

 なんだろう、この気持ち……。

 頭の中でユーノくんがいろんな顔をするたびわたしの心もいろんな形になる。
 何より心の中がほんのり温かい。いつもユーノくんが背中を守ってくれた時は背中が温かかった。それと同じような温かさ。
 これがもしかしたらその気持ちなのだろうか。
 正直言うと、やっぱりわからない。

 ただ……。

「……ユーノくん」

 返事はもちろん、ない。
 本当に一人なのだ。今この家にはわたししかいない。お父さんが大怪我した時みたいにわたしは一人家の中にいる。
 声も音も、何もない家。ただ言い表せない寂しさだけがあった。
 誰も側にいない。心に穴が開いたようだ。
 もしもこの先ユーノくんが元の世界へ帰ってしまったらこの部屋にはわたししかいなくなってしまう。

「なんか…………嫌だよ」

 今だけ、もう少しだけユーノくんと一緒にいたい。
 
 わがまま……だよね。
 
 自分の日常にユーノくんがいることが当たり前だと思っていたことをわたしはちょっぴりの切なさと一緒に感じていた。

「レイジングハートはどう思う?」

 胸元からレイジングハート引っ張り出し掲げる。
 窓から差し込む日差しを照り返してもレイジングハートそれ以上何も答えてくれない。
 まるで自分で考えろ、そう言っているみたいに。

「電話……してみようかな」

 思ってわたしは携帯電話に手を伸ばした。と、手が触れるより早く電話がなった。時空管理局、液晶に移された文字はほかでもないそれだった。

「は、はい。もしもしなのはです」
『なのはちゃん!? よかったぁ、ちゃんと出て』
「エイミィさん? どうしたんですか」

 電話の相手はエイミィさんだった。なんだか声の調子が切羽詰っている。

『本当はこんなこと頼んじゃいけないんだけど、もうなりふり構っていられなくて……』

 動揺し、震えた声が携帯越しに耳に飛び込んでくる。なにか向こうでよくないことが起きていることは明らかだった。

『とにかくそういうことだ』
「い、一体どうしたの?」
『詳しいことは道中話す。責任は僕が全部取るから力を貸してくれ。艦長達を助けるために』
「うん、わかった」

 割って入ってきたクロノくんにわたしはすぐに頷いていた。
 嫌な予感、胸騒ぎがする。きっと電話の向こうで大変なことが起きている。

「待ち合わせ場所は海鳴公園だよね」
『すまない、手間をかけて。トランスポーターの性能がよければ君の部屋に直接開くことも出来たんだが』
「いいの、急ぐから」

 言ってすぐ電話を切った。ぐずぐずしてはいられないから。
 家を飛び出す。胸の中では焦燥が渦を巻いてわたしの心を押しつぶそうとする。早く、早くついて欲しい。

 浮かんでくるいろんなことを誤魔化すようにわたしはレイジングハートを握り締めていた。
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